2003年04月16日

ある神の話

世の中にはスゴイ人がいる。彼の名をH君と呼ぶ。

H君は見た目とても温厚で物静かな感じ。どちらかというと
地味目で至って紳士的な人である。いつもニコニコしているし、
物腰も柔らか。仕事も淡々とこなすタイプだ。

そんな彼が、ある日空も白け始めた青山の飲み屋で、静かに口を
開いた。

「ぼく、風俗嬢に中で出しちゃったんですよ」

え!? その場にいた誰もが耳を疑った。彼が風俗好きだという
ことは分かっていたのだが、まさかそこまでの猛者だとは…

それはスゴイことである。彼が言う風俗とは「ヘルス」のこと。
もちろん本番行為は厳禁。ばれたら店には殺されるは逮捕される
は、とにかく大変なことなのだ。店内の壁紙には「違反行為を
した方には罰金として金100万円申しつけます」などと背筋が凍る
ことが書いてあるので、普通、そんなことをしようとも思わない。

仮に、神経がずぶとく「しよう」と思っても、普通、女の子に
拒否られる。そりゃそうである。もし本番を容認するのであれば、
ソープで働いているはずだ。わざわざ給料が安いヘルスで働く
必要はない。

それでも万が一、女の子が許してくれたとて、中出しはさせまい!
相手はオンナをカネで買いに来た、さっき会ったばかりのアカの
他人。そんなヤツの遺伝子を自分の体内に注入しようなんて気に
なる訳がない。そもそも、中で出そうとする彼もスゴイが。

でも、これだけでスゴイと驚いてはいけない。

僕「で、どーやったら、そうなるわけ!?」

彼「いや、べつに、なんとなく、ふつーにそうなったんですよ」

僕「ふつーって… でもバレたらヤバくない!?怖くない!?
  よくできるよな…」

彼「それが、バレたんですよー。3回目くらいに

「・・・・・・」


バレたと。バレたんだと。3回目なんだと。おまえは神かと。
何なんだ一体。世の中どうなっちまってるんだ。バレたのに、
こんなノホホンと平然と生きていられるのかと。

僕「で、で… どうなったのよ…」

彼「いやー、なんか事務所の方に連れられて、すごく怖かった
  けど、なんか、僕が常連だということで許してもらいました」


神光臨ですよ。


いるんですね。世の中にはこういう神が。いちゃうんですね。
正直ドドンパに乗ったときよりもビビりましたよ。あり得ませんよ。
こんな温厚で物腰柔らかいH君がそんなことを。バレても許され
ちゃうんですよ。常連だから。


彼は続ける。

彼「でもー、さすがにその後怖くなって、AIDS検査に行きまし
  たよ。メチャメチャ恐怖を感じて。そんなことする娘って、
  何かあるかもしれないじゃないですか」

僕「保健所行ったんだ」

彼「それが、あるんですね。世の中には完全に匿名で検査を受け
  られるヤミ医者みたいなところが。歌舞伎町まで行きました
  よー。陰性で安心しました」

やはり根はチキリ屋なのか。ただのアフォであり、神ではないのか。
ところが、その後の話を聞いて考え直した。

彼は最近、原因不明の咳をしていた。時節柄「すわ、SARSか!?」
と思うのが普通だ。

僕「おいおい大丈夫かよ。SARS怖いし。うつすなよー」

彼「ていうかSARSよりも、むしろAIDSが怖いんですけど」


僕「・・・・・。もしかして…」


彼「また、やっちゃいましたぁ。違う店で。バレてませんけど」


やはりである。


ちなみに彼の咳は止まり、一安心だ。今日も元気に夜の街へ飛び
出して行った。



Posted by osamu at 2003年04月16日 08:52 | トラックバック

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